ループ。
9個の枠に三角形と数字。
(そういえば、ちょっと前の問題に三角形の向きが矢印になってる、なんていう問題があったっけ)
何か手がかりでもないかと、検索をするためにスマホを手に取る。
(スマホ!?)
ドテチンから差し出したメモを見ながら、スマホを操作する。
「ドテさん、答えは『ホクトムソウ(北斗無双)』…ですね?」
少しだけ間を取ったのち、ドテチンは大きくうなずいた。
「おめでとう、ジャイロ君。スマホを使いこなしているようだね。」
9個の正方形は、スマホのあ〜わの文字盤に対応している。それぞれ矢印の方向へ番号順にフリック入力すれば『ホクトムソウ』が入力完了だ。
「でも、最終問題にしてはずいぶんあっさりしてましたね。答えも、北斗無双って…ちゃんと機種名にするなら『真・北斗無双』にするべきだと思いますよ。」
いつの間にか、謎解きにも慣れ、問題にダメ出しをしている私。
「まぁ、いいじゃないか。これでこの企画も終了だ。お疲れ様!」
「そうですね。連載が終わるって聞いてめちゃくちゃ焦りましたけど、結果的には楽しかったからいいかな。」
時刻は23時半を回っている。朝から降っていた雨もどうやら止む気配を見せている。
「そういえば、さっきから気になってたんだけど、連載が終わるって何の話?」
帰り支度をしているドテチンが首をかしげる。
「今回の企画の最初から、本誌のジャイ論LABOが終わるっていう話が付いて回っていたんですよ。この企画を盛り上げるための設定とかじゃなかったんですか?」
「いや、そんな話全然していないんだけど…。」
何か少しだけ背中に嫌な汗を感じる。
「ジャイロを帰らせないように、いろいろ言いくるめてねとはみんなに言ってあったけど、そんな具体的な表現にはしてなかったな。」
「そうなんですね…誰が思いついたのか知らないけど必死になりましたもん。ウソでよかったです。」
ドテチンの言葉を聞き安心するものの、まだ原稿を書いていないことを思い出す。
(しょうがない、家でやるか!)
しかし、荷物をしまい、カバンをかけると衝撃的な一言が耳に飛び込んできた。
「ウソなんかじゃない。まだ終わりじゃないから…。」
(終わりじゃない…!?)
さきほどの嫌な汗はこのことだったのか。私は、慌てて部屋の入口にいる声の主に目をやった。
…to be continued