CALL TO ME.
「地獄少女」
パソコンでこの文字を打つと、なんだか地獄通信にでもアクセスした気分になる。
『極上女子』
↓
『ゴクジョウジョシ』
↓
『ジゴクショウジョ』
気づいてみればなんてことない並び替えの問題だ。
「おっ、メールが届きましたね…地獄少女、正解ですよジャイさん。やるやないですか!」
「さぁ、誰から頼まれたか白状するんだ!」
「極上な女性に縁なんかないジャイロさんには解けへんかなって思ってましたけど。」
「うるさい、うるさい…いろいろうるさい!」
完全に矢吹のペースに乗せられどんどん声が荒くなっていく。いつもは可愛がり甲斐のある、愛嬌のある矢吹の性格がこんなにも疎ましく思ったことはない。
「でも、本当に言ってええんかな…言ったらボコボコにされそうな気がするし。」
「いいにきまってるだろ! 私の方がどれだけ先輩だと…」
「いや、それがそういうわけにもいかないんすよね…あー、やっぱ言われへんので帰ります! お疲れっした!」
「おいっ、矢吹…矢吹!」
受話器を置く音が空しく聞こえてきた。
(ちくしょう、誰が私の連載を邪魔してるんだよ…)
矢吹の言葉をストレートに受け取れば、彼に頼んだのは自分より目上の人間だ。
(ドテさん?)
いやいや、そんなことをする意味がない。
(編集長!?)
これはあり得る。ページを一番自由に動かせるのは編集部の長である編集長のはずだ。
(だとしたら、なぜ?)
そうなのだ。結局はなぜこういうことが起こっているかという「原因」が全く分からないのだ。その後も先輩や上司の顔をいくつも多い浮かべるが、結局、理由が全く思い浮かばない。
頭を抱え一人で机に突っ伏すと、また雨音が耳に流れ込んできた。どうやら雨脚が強まってきたらしい。
「散々な1日だな…。」
机に向かってぼそりとつぶやくと、そんな独り言に答えるかのようにドアノブがガチャリと音を立てた。
…to be continued