物書大陸
時代ゆえにドテチンが生まれたのか、それともドテチンはどの時代でもドテチンだったのか。その答えは永遠に分からないが、とにかくドテチンという男がいる事実は、とても意義深い。ドテチンのDNAを受け継ぐ後輩ライターが、一人でも多く育ってほしい。

――後輩を育てるにあたって特に気を付けていることは?
ドテチン「教育ってどこかで絶対にかかわらないといけないんだよね。時間が経てば先輩が消えて、その一方で後輩が増えていくからね。自分には5年間の大学生活で学んだ経験がある。人より1年長い経験が(笑)。それでも、人に教えるのは難しいね…。それは本当に難しい。育った環境も持っている常識も、なにもかもが違うから」
――自分の経験を伝えることも難しいですか?
ドテチン「そうなんだよね。本当はもっと教える立場である自分が、自分自身に自信を持たなきゃいけないんだと思う。でもね、自分と同じことをやっていれば大丈夫なんてとても言えない」

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どこまでも謙虚なドテチンだからこそ、誰からも愛される。それは分かっているが、時にもどかしく感じることもある。もっと胸を張っていいのに、後輩みんなが本気で尊敬しているのに。

――この仕事ゆえの特殊性、みたいなものはありますか?
ドテチン「あるね。ある意味では芸能界に近い世界になっているから、個性と社会性という相反するものを切り替えられなきゃいけない。例えば、カメラの前で見せる姿や掲載した文章はどれだけ叩かれてもいいけど、『はい、カット!』と言われた後の人間性は叩かれちゃいけない。個性を尖らせなきゃいけないけど、同時に社会人としてしっかりしなきゃいけない。その両方を育てていきたいね」
――叩かれるのが怖い、という人もいますよね。
ドテチン「演者として出てる以上、何か印象を残さなきゃいけないんだよ。たとえそれが『死ね』という辛辣なものであったとしても、動画なりを見て、印象を残して、さらにそれを誰かに伝えたいと思って書くわけだから。だから『すごい』と言われても『死ね』と言われても、どっちも同じ1点なんだよ」

やはり表に出るべき人間の思考は強い。長く続ける人間の思考は逞しい。後輩に向ける愛の言葉は止まらない。

ドテチン「自分は『死ね』と言われることがない。そういう意味でキャラとしては弱いんだよ。例えば助六・ジャイロキャプテンと並んで動画に出たら、助六の解説を聞かせたい、ジャイロのトークを聞かせたいってなるでしょ。自分はやっぱり弱いんだよ」
――パチンコという現金が飛び交う世界でアンチがいないのは、凄いことだと思うんですが。
ドテチン「よくそういう風に言ってくれる人がいるけど、自分ではアンチがいないのはダメだと思ってる。自分はどこに出ても結構溶け込んじゃうタイプだし、多分極端なことを言えてないんだと思う。トラブルは起きないかもしれないけど、その分面白さとしては『跳ねない』んだよ」

裏方の一人として言わせてもらえば、トラブルは起きないけど毎回50点、というならともかく、ドテチンのようにトラブルの心配もない上に、安定して80〜90点を毎回出してくれるのは、これ以上なく素晴らしいと思う。だが、何度それを力説してもドテチンの首が縦に動くことはなかった。

――では、自分の強みはなんだと思いますか?
ドテチン「和泉さんとか山ちゃんボンバーのようなガチプロとは違って、正攻法をしっかりと理解していながらも、夜10時30分から打ってしまうお茶目さかな(笑)」
――お茶目なんですか、それ(笑)。
ドテチン「純粋に『今ある1000円を5000円にしたい』というパチンコの持つギャンブルという一面も、まだ好きなんだよね。ちゃんと勝ちたい時の立ち回りと、純粋に楽しみたい時のそれを、どちらも両立できるんだよね。分かりやすく言えば、30回まわる好きじゃない台と25回まわる好きな台、それを状況次第でどちらも選択できる」
――今でも新台を初めて触るときは楽しいですか?
ドテチン「楽しいよ。この業界に入ってもう15年になるけど、まだ心からパチンコが好きで、まだ純粋に面白い。ちょっとジャンルは偏ってるけどね(笑)」

一瞬すごく好きになることは誰にでもできる。だが、好きで居続けることは誰にでもできることではない。それは才能だ。ドテチンが謙虚ゆえに気づいていない才能を、ひとつ見つけた気がした。そして、新台の話から思いもよらぬ話が飛び出した。

ドテチン「そういえば、誰にというわけじゃないけど、ライターに言いたいことがひとつあるんだよね。みんな悪いことばっかり指摘しすぎだよ」

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正直、面食らった発言だった。特定のライターを指すわけではないとはいえ、ドテチンの口から批判的な言葉が飛び出すとは予想していなかった。

ドテチン「ウチらの仕事っていうのは、打った台の『ここが面白い』ということを伝えて、みんなに打ってもらうことなの。なのに、なんでいきなり面白くないところを伝えちゃうのかな」
――自分はこういうところに気づけるんだぜ、というアピールなんですかね。毒舌がかっこいいという誤解か。
ドテチン「ウチらがこの業界にいることの意味は、面白いところを伝えて、みんなにパチンコを楽しんでもらうことで初めて成り立つの。それなのに、なんでハナからみんなが敬遠しちゃうようなことを言っちゃうのか…」

ドテチンの熱い想いは続く。

ドテチン「例えば去年、初当り確率の下限が1/400から1/320になったけど、悪くなっただけじゃないと思う。だって適当に座っても20回まわるような台に座れるようになったじゃない。自分たちの役割ってなんなんだ、というところを考えてほしい。色んな規制がかかっているんだから、つまんないところを探すのなんて誰にでもできる。でも、その中に絶対面白いポイントがあるんだから、それを探して伝えなきゃ」
――本当にパチンコが好きなんですね。
ドテチン「自分は演出解説に関しては、ジャイロ、助六、優希に劣ると思ってる。細かいところまでアタマが回らないし、人の名前とか覚えられないし(笑)」
――そんなおじいちゃんみたいな理由ですか(笑)。
ドテチン「だけど、自分が選んだ台をすごく楽しく打つ、っていうことに関してだったら、できてるのかなって思うよ」

実はこのインタビューは、約4時間をかけて行われた。その中で初めて、ドテチンが自らを認めた発言だった。ドテチンのパチンコ愛、ここに極まれり。そして話は規則改正へと向かう。

――10年後、20年後のパチンコ業界はどうあってほしいですか?
ドテチン「規則改正とかがここまで問題になっているのは、多分大衆娯楽として大きくなりすぎちゃったんだと思う。この状況を維持してほしいとは思わない。淘汰されていくのは、それは仕方のないことだから。ただ、ゼロにはなってほしくない。なくなってほしくない」
――CDが売れなくても歌がなくならないように、本当にパチンコが『文化』ならなくなることはないですもんね。
ドテチン「自分がいつまでこの業界にいるかは分からないけど、もしいつか辞めたってパチンコ屋さんには行くだろうし、老後の楽しみは取っておいてほしいな」

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15年経ってなお、これだけ純粋にパチンコを愛せる男が他にいるだろうか。

ドテチン「65%規制ができたのに、残り保留とかで事実上の抜け道を探してきたのは事実なわけで、そういう過去を踏まえての規則改正だろうしね。向こうからしたら『言いたかねえけど、規則をかいくぐって荒い台を作ってきたからだ』っていうのもあるだろうし。あそこでライトスペックしか作りません、65%規制を厳守します、ってなってたら、もしかしたらまた違う未来があったかもしれないよ」

愛するがゆえに、業界に対する姿勢も厳しくなる。それでも、ドテチンはパチンコを愛し続けるだろう。

ドテチン「将来的に、たとえ低レートしか認められなくても、大当り出玉がどれだけ減らされても、きっと『500円が2000円になる勝負』くらいはできると思う。自分の設定した目標に向かって打つ、その過程を演出だったり玉の動きだったりで楽しめる、というところは変わらないと思う」

4時間、1万文字超のインタビューを経て、ドテチンの素晴らしさが改めて見えてきた。普段は絶対に語らない、業界や後輩ライターへの提言も、自身への過剰とも思える謙遜も、すべて透明なパチンコ愛ゆえなのだ。

パチマガに限らず、ライターを名乗るすべての人にこのインタビューを読んでほしい。ドテチンの素晴らしさを知ってほしい。そして、それをそれぞれのカタチで表現してほしい。きっとそれは、読者のためになる。そしてそれが業界のためになる。

パチンコ攻略マガジン、攻略軍団長・ドテチン。41歳。キャリア15年を誇るベテランライター。その彼が持つ最高の才能は、パチンコを純粋に愛し続けていること、だった。

(ドテチン編、了)

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