すこし昔 あるところに パチスロライターしぼうの 男がおりました。さくもなく 都にでて ジグマのまねごとをして 生きのびていました。

かよいつめるホールには 他にもじょうれんがいました。中年ヤンキー タオルはちまき ぼっちゃんがり ぶるどっぐ ねんれいそうは やや高めでした。

その中に とびぬけて うまい 男がいました。うすぐらい店内でも つねに サングラスをかけていました。若くみても にじゅうだいこうはん 下手したら さんじゅっさいすぎ。よく じょうれんのおじいさんに ジャグラーのアドバイスを していました。いわば リーダーかく でした。

サングラスは ノーマルタイプが 好きでした。ライターしぼうも ノーマルタイプが 好きでした。サングラスと ライターしぼうの ねらい台は よくかぶりました。でも 二人は 話をしませんでした。


ぜつみょうな パーソナルスペースを たもちつつ すうかげつがたちました。

とある新台の どうにゅうび。ライターしぼうは 日がのぼるまえから 店のまえにならびました。そのすこしあとに サングラスも 店のまえにならびました。

雨がふっていました。ふるえるさむさでした。まだ かいてんまで 4じかんばかりありました。でも 二人は 話をしませんでした。

二人は ならんで 三千まいくらい 出しました。でも 二人は 話をしませんでした。


それから さらにすうかげつが たちました。ライターしぼうのところに たよりが とどきました。

それは まちのぞんだ さいようつうちでした。はれて かおと ペンネームと ぶんしょうが 世の中に はなたれることになりました。

ライターしぼうから みならいライター にかわっても かわらず いつものホールに ならんでいました。

今までどおり サングラスもあとに ならびました。しかし 今までとちがい サングラスが みならいライターに 声をかけました。

「ざっし 見ましたよ がんばってください」

今まで みならいライターは サングラスのことを 「強敵」と書いて「ライバル」だと 思っていました。しかし 「強敵」と書いて「とも」だったんだと かんげきしました。

「ありがとうございます」

みならいライターは かんじょうをもらさずには いられませんでした。


それから みならいライターの生活は かわりました。生きのびる方法を かつことから かくことへ かえたのです。いつものホールへも 行かなくなりました。


気がつけば 一年が たっていました。

みならいライターは ふと思いだしかのように よくかよっていたホールに 行ってみました。きゃくそうが 一年まえより わかくなっていました。中年ヤンキーなど じょうれんは まだいました。

ただ サングラスだけ いませんでした。そのご アツい日にのぞいても いませんでした。サングラスの せいかつも かわったんだ。そう思うと どこかさみしくなりました。


さらに 時がすぎました。みならいライターは 新台のしゅざいに行きました。そこは はじめてうかがう ショールームでした。

「今日は よろしくおねがいします」

こうほうさんに めいしをさしだし あいさつをしました。

「よろしくおねがいします ぼくのこと おぼえてますか?」

いきなりのかえしに みならいライターは パニックにおちいりました。

「ほら あそこのホールで よく打ってた」

それは わすれるはずのない あのホールの名前でした。

「え もしかして あの いつも サングラスかけてた?」

「ええ そうです おひさしぶりです」

サングラスの せいかつは ほんとうにかわっていました。

しゅざいがおわったあと みならいライターの でんわがなりました。

「こんど のみに行きませんか?」

あのころ いちども 話すことのなかった 二人は あのころのことや 今のこと いろんなことを話しました。

話してみると みならいライターは はじめて知ることばかりでした。ねんれい ふるさと バンドマンだったかこ じぶんが タイ人 とよばれていたこと。

あのころは おなじホールで 生きる 「強敵」とかいて「ライバル」でしたが いまでは おなじ パチスロぎょうかいで生きる 「戦友」とかいて「とも」とよむなかに なりましたとさ。

めでたし めでたし




……って、こんなお話はありませぇん! ホントにあったら、もっと早い段階で徒然草とかに書いてっから!!

「ここ数年で最高クラス」なんていうボジョレーみたいな年末進行の真っ只中に、【心温まる話】というキラーなお題を投げかけてきた編集Sさん。昔話風妄想話という変化球で返したこと、「書き直し!」なんて言わずに笑って許してもらえたら、これこそまさに【心温まる話】って感じがするんですが、どうでしょうか。

(三宅ナビ)