徒然草 徒然草
≫年末年始特別編について≪

ヘミニク
「言葉では伝えない」
今から10年ほど前。僕は高校卒業後、自動車整備の専門学校へ進学しました。車が好きだったので、将来は自動車関連の仕事をしたいなと思っていたんですよね。進学先は東京・八王子。もちろんそこには知人も居なければ友達もおらず、慣れ親しんだ故郷福島を離れることに多少の不安はありましたが、それでも初めての一人暮らしに胸躍らせていました。

学生の一人暮らしで、必要なものと言えばまずお金。特にバイトもしていなかった僕は、無一文に近い状態でした。どうやって生活費を捻出していたのかというと、親からの仕送りです。月5万だったかな。贅沢出来る額ではないですが、自分でお金を稼ぐようになってから振り返ると、僕のような将来の期待値があるかどうかも分からない人間に月5万も分け与えてくれる人なんて、多分この世に両親しかいないと思います。とてもありがたい事です。

そんな訳で、一人暮らし1年目は節制しながら堅実に生活していたので、貯金も20万くらいに増え、特にお金に不自由することなく生活出来ました。しかし、多少慣れてくると、そこは遊びたい盛りの20歳。友人らに誘われ、ちょくちょくパチンコ屋へと足を踏み入れるように。最初は見てるだけでしたが、試しに4号機の初代北斗を打ってみたらば、バトルボーナスが12連くらいしてあっさり3万くらいの快勝。これに味をしめ、仕送りと言う身分でありながらも、パチスロを打つようになるのでした。

当時の僕はただの学生で、もちろんパチスロで勝つ方法なんて知りません。打つ度に負債は増えましたが、「マイナスになった分は絶対取り返す!!」…と、ラオウの昇天目指して初代北斗にひたすら金をブチ込み続けました。そんな打ち方を続ければどうなるかは自明の理。1ヶ月持たずに、ラオウより先に貯金20万が昇天していました。

さらにその翌月には、仕送りを振り込んでもらったその日の内に5万負け。全財産数百円という無能ここに極まりという状況に。やべえ…マジでどうしよう…。1ヶ月間、どうやって生きていけばいいんだ…。本気で消費者金融が脳裏をよぎりましたね。

しかしその日の夜、母親からメールが。内容は「仕送り振り込んどいたからね」というもの。あああ、申し訳ねえ…それもう使っちゃったんだよ…。自己嫌悪でメールの返信も出来ないでいると、しばらくして再び届いたメールにはこう続いたのです。

「あと、宅急便も送っといたから」

え…? なんで…? いったい何を送ったのか、翌日届いた段ボール箱を開けてみると、中にはタッパーに詰められた野菜炒めや、家で収穫された米などの食品。そして封筒に包まれた少しのお金。僕の窮地を見越したようにそっと置かれていた封筒には、ブワッと込み上げてくるものがありましたよ。久しぶりの手料理は冷たかったけれど、あの時は本当に心が温まりました。

今のこの生活は、両親が期待していた将来ではないかもしれません。ちゃんと就職する事を望んでいたことでしょう。でも、だからこそ、故郷に帰った時に少しでも仕事の話が出来るように、僕はこうしてライターらしい仕事をしているんだと思います。まあ、見てるかどうかは知らないけれど…。

ただ、この徒然草は絶対に教えないし、言葉にもしないけどね。恥ずかしいから!!

(ヘミニク)
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