新年まであと1週間を切りました。年末年始と言えば三重県の大晦日ぶっ通し営業ですが、地元民からのアドバイスとしては防寒対策が必須です。毎年例外なく0℃前後になるので、とにかく寒いのです。長丁場だけにお腹が空いて外に出ようとしても、息が凍るほどの寒さが阻みます。

ところが近年は、年越しそばをタダで振舞ってくれるホールが増えてきました。これが実にありがたい。お腹もあったまるし、タダやから財布もあたたまります♪ ……って、心温まる話はこういうのじゃないか(笑)。

今から15年前、商店街の一角に毎日通っていた小さいホールがありました。お目当ては3回権利モノのラッキーキャット。ラッキーナンバー営業でしたが、釘が甘めな代わりに限りなく1回交換。現金投資のままではほぼ負けますが、持ち玉ならまず勝てます。

要はラッキー札が刺さるかどうかの勝負ですが、現金投資中はやはりシンドイ。ラッキーナンバーで当たれば今の確変よりずっと嬉しいけどのう。そのシマにはわし以外にも常連が5〜6人いました。全員、商店街の年配店主たちです。誰かが大当りを引くと、ご祝儀と称してシマのみんなにカップ1杯ずつ出玉をおすそ分けする風習がありました。

縁起の良い玉を配って幸せを分かち合おうという心温まる光景ですが、冷静に考えたら当時は厳禁だった持ち玉の共有行為。人数が多いと自分の持ち玉が半分近くまで減る事もありますが、事実上全員でノリ打ちしてるのと同じです。ただ、数少ない上に得意客なので、店員は見て見ぬフリ。皆さんプロではないので罪の意識もありません。そして、わしだけがプロなので蚊帳の外。玉のおすそ分けはただの一度もナシ。一人だけ心温まる日が来ないまま、そのホールは数年後に潰れてしまいました……。

続いては約10年前。プリペイドカードが徐々に消えて、500円玉を直接CRユニットに入れるホールが増え始めた頃です。大きな駅の前にあるホールに通っていたのですが、喫煙目的で訪れる客が多く、わしはいつも風上のカド台に着席。その指定席の隣には両替機がありました。

ある時、誰もが目を引くような若い女性が両替していました。かなり若く、スタイル抜群、そして美人。思わず見とれてしまうほど。やがて彼女は背を向けてどこかのシマへ向かおうとしたのですが、彼女の財布から1万円札がヒラヒラ〜。すかさず拾い上げて追い掛けました。

「落としましたよー!」と叫びながら猛ダッシュしたら、彼女は悲鳴を上げて駆け出しました。大金なのでこちらも必死です。ところがその形相が変態中年と思われたのか、彼女は店外に逃げ出して居なくなってしまいました。他人から見れば金で口説こうとしてるスケベジジイの姿に写っていたでしょう。とりあえず預かったまま台に戻りましたが、彼女は10年経っても戻ってきません(笑)。心温まる話になるはずだったのに……。

次こそはハートウォーミングな話。数年前の真夏、連日40℃を記録する猛暑が続いてました。そんな中、正午過ぎの過酷な時間帯にホールへ。あと1kmほどの地点で信号待ちをしていたら、道路のセンターラインで石らしき物が動いてます。よく見るとミドリガメでした。交通量の多い幹線道路なので、このままでは轢かれてしまう。青信号に変わる前に救出しました。

急いでいるので池や沼を探す時間はありません。とりあえず原付の収納トランクに入れてホールへ。しかしトランク内は端玉チョコが3分と持たずに溶けるほどの高温です。スーパーへ寄って無料のロックアイスを大量に仕入れてバイクへ詰めました。到着後、狙い台には座れましたがカメが気になって遊技どころではありません。

ところがカメの恩返しなのか、ミドルなのにわずか数回転で大当り。確変を消化してバイクへ戻ると、カメは冷たくなってました。変温動物なので冬眠状態です。目玉焼きが作れるほど熱せられた密室に入れたままだったら熱中死していたでしょう。

カメのおかげで最速日当を得られたので、すぐ帰宅しましたが、情が湧いてきて飼う事にしました。水槽・エサ・ろ過装置……いろいろ買い揃え、甲羅干しの日光浴や散歩など、手塩に掛けて育て上げました。それから2年ほど経つと、30φメダルより小さかったカメはわしの靴より大きくなりました。

その後、ちょうど拾った頃と同じくらい暑い夏のある日。いつものように甲羅干しをさせていたら、カメは一瞬のスキに逃げ出して、自宅前の川へドボン。あっけに取られている間にどこかへ行ってしまいました。考えてみれば、出会いも別れも前触れなく突然やってくるもの。カメも狭い部屋より自然に帰るほうが幸せなはずです。

彼がいなかったら、あの大当り乱数は引けていなかったはずやしのう(笑)。

(アンドレ)