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パチマガスロマガ
現役パチスロ開発者ジェイさんの回胴再発見

パチスロに目押しはなぜ必要か? 〜型式試験から読み解く技術介入の存在意義〜

装い新たに連載スタート

皆さん、こんにちは。ジェイさん@発信する遊技機ブランドプロデューサーです。

昨年まで『パチマガスロマガFREE』にてコラムを連載しておりましたが、今年からこちらの『パチマガスロマガMobile』にて新連載『回胴再発見』をスタートすることになりました。

私は現在、遊技機が持つ本来の価値を、開発の起点から市場へ分かりやすく届ける仕事をしています。開発現場には作る側の論理があり、ホールには打つ側の感情があります。その両者の間に立ち、架け橋となることで、皆様にパチスロの新しい楽しみ方を提案していきたいと考えております。

これからどうぞよろしくお願いいたします。


さて、今年2月、パチスロホールには技術介入性が大きな特徴である2つの注目機、Lパチスロうみねこのなく頃に2スマスロ ハナビが導入されました。

ジェイさん 回胴再発見|うみねこ2 ハナビ|スマスロ パチスロ スロット

新機導入のたびにSNSやコミュニティで話題にのぼるのが、目押しのハードルです。技術介入によって機械割に差が生まれる仕組みは、習熟度の高いプレイヤーには恩恵となりますが、ライト層にとっては心理的な障壁になることも少なくありません。

しかし、開発側の視点で見れば、この技術介入こそが、パチスロを単なる運任せのギャンブルに留めず、プレイヤー自らの力で結果を掴み取る「遊技」として成立させている核といえるでしょう。

今回は、中級者以上のプレイヤーこそ知っておくべき、目押しの真意と未来について掘り下げます。

遊技機であるための絶対条件と不適合事例

ジェイさん 回胴再発見|型式試験実施状況|スマスロ パチスロ スロット
(参考):令和8年1月の型式試験実施状況より

まず前提として、パチスロは法律上の定義において「遊技機」です。これは、プレイヤーの技量が遊技の結果に反映される余地がなければならないことを意味します。遊技の結果がくじ(運)だけで決まってはならないのです。

この点は型式試験において厳格に審査されています。直近の保通協による不適合事由では、「小役・リプレイ・ボーナスが成立している全ての遊技において、停止ボタンを押すタイミングにかかわらず図柄が揃ってしまう」設計が問題視されました。

これは、「どこでいつ止めても結果が変わらない制御は遊技機としての体をなしていない」と判断されたことを表しています。つまり、打ち手の介入によって結果が変化することこそが、パチスロがパチスロであるための証明なのです。

この技量の定義こそが「目押し」です。押し順ナビに従うだけのAT機が主流の今であっても、内部的には「目押し」をしなければ払い出しが得られない役が存在している必要があります。かつて目押し不要機の代名詞であった5号機の『ミリオンゴッド‐神々の凱旋‐』でさえ、1/409.6で目押しを要する1枚役を搭載することで、この定義をクリアしていました。

出玉の差から手応えの差へ

ジェイさん 回胴再発見|スマスロ ハナビ|スマスロ パチスロ スロット

パチスロ開発において重要なのは、技術介入による出玉的な報酬だけでなく、目押しによるストレスと狙った通りに止まったという快感にどう繋げるかのバランス感覚です。

例えば『スマスロ ハナビ』では、通常時の氷役が15枚役として構成されています。取りこぼした際の損失が大きく、常に一定の緊張感を持ってボタンを押す必要があります。こうした設計は一見シビアですが、だからこそ狙い通りに揃った瞬間の達成感が生まれ、遊技機としての手応えを感じさせてくれます。

一方で、ライト層が技術介入機を敬遠する最大の理由は、失敗による損失への不安です。ですが、現代の機種は挑戦のしやすさを向上させつつ、成功時の喜びを最大化するように設計されています。

近年、技術介入が必要とされる場面において、特にシンボル図柄である『7』や『BAR』のデザインには、かつてないほどの配慮がなされています。『7』図柄を大きく見せ、透過処理を施した図柄にバックライトLEDを透過させて輪郭を際立たせたりと、視認性を高める工夫が随所に見られます。たとえビタ押しが要求される場面であっても、リール回転中の残像から図柄を見つけやすいよう、色彩設計や光源の配置まで緻密に計算されている傾向があります。

これは開発者からのメッセージで、技術介入という壁を作るのではなく、その壁を乗り越えるための足場をデザインや光学的な支援という形で用意しているのです。狙いやすく設計された図柄を自らの力で止める。そこには、物理的なリールを操作するパチスロ本来の楽しみが詰まっています。

目押し不要が招く規制への懸念

近年は押し順ATが主流となり、ほぼ目押し不要で一撃出玉を目指せる機種が増えています。ライト層の間口を広げる点ではメリットがありますが、遊技機の趣旨という観点からは慎重な議論が必要となります。

あまりにも目押しの必要性が希薄になり、プレイヤーの介入余地がなくなれば、それは遊技機ではなく単なるギャンブルマシンに近づいてしまいます。かつて2012年の解釈基準変更により、客の技量にかかわらずメダル獲得が容易である性能が規制された経緯があるように、遊技性の欠如は更なる規制強化を招く懸念があります。

ここで中級者以上のプレイヤーに期待されるのが、伝道者としての役割です。私たちは、目押しを単なるメダル獲得の作業としてだけでなく、成功した瞬間の快感や、リール制御の美しさを知る層です。この楽しさをライト層に共有していくことが、パチスロという文化の持続可能性に寄与します。

もし身近なプレイヤーが目押しに苦労していたら、それが損失であることよりも、狙った通りに止まる楽しさや喜びを自分の言葉で伝えてみてはいかがでしょうか。目押しは「損をしないためのノルマ」ではなく、自分の力で狙い通りに止まる快感を味わうための「パチスロ本来の醍醐味」なのです。

パチスロを未来に繋ぐために

パチスロにおける目押しは単なる作業ではなく、遊技機としてのアイデンティティであり、私たちが唯一機械に対して主体的に介入できる手段です。ビタ押しを完璧にこなすことだけが正解ではありません。少しずつ上達していく過程を楽しみ、狙い通りに止まった時の喜びを誰かと共有する。そうした楽しさが広まっていくことが、パチスロという文化の未来へ繋ぐことにつながります。

ホールで新しいパチスロ機を前にしたときは、そのスペックや機械割の数字以上に、この台が打ち手に目押しでどういった体験を与えようとしているのかに注目してみてください。その先に、単なる数字の積み上げではない、遊技機としての真の楽しさが待っているはずです。そしてその楽しさを、ぜひあなたの近くのプレイヤーにも届けてみてください。

(C)OIZUMI/(C)竜騎士07/07th Expantion
(C)UNIVERSAL ENTERTAINMENT
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