年末ぶりの特別企画「徒然草」、今回もありがたくバトンを頂戴いたします。
都内在住フリーライターあしのです。
みなさまお元気でしょうか。チワッスチワッス。
去年の夏にこれを書かせていただいたときにはたしか夏らしくホラーっぽいことを書いたと思うんですが、折角の機会なんで今年も引き続き怪談をひとつ行っときましょうかね。
怪談。怪談です。
我々は怪談というとすぐ幽霊とか妖怪とかを思い浮かべますが、「怪」は「ケ」であり、古語で「不思議なこと」を指します。
例えば、万葉集にはよみ人しらず(一説によると柿本人麻呂作)の、こういう歌があります。
妹が手を取石の池の波の間ゆ鳥が音異に鳴く秋過ぎぬらし。
妹というのは妻のこと。取石(とろし)は「取りし」とのダジャレになってるんですけど、天武天皇の頓宮(休憩所)があった兵庫の地名です。
んで「鳥が音」は鳥の声で、「異に鳴く」は「ケになく」と読む通り「不思議な声でなく」という意味。
つまり、この歌は超フランクに現代文に訳しますと、妻と手を繋いで頓宮の池らへんを散歩してると、波に遊ぶ水鳥たちが奇妙な声で鳴いてた。どうやらもう冬になるらしい。みたいな意味です。
こんな感じで「ケ」を「普段と違う」とか「不思議な」あるいは「奇妙な」という意味で使ってる和歌は他にもあり。現代でも「物の怪(モノノケ)」のケとして残ってますな。
というわけで「怪談」は幽霊や妖怪が出なくて別にいいですし、ふだんと違った、よくわからないこと、不思議なことがあればすなわち怪談として成立します。
んで筆者はそういう、なんか良くわからんけど怖い話みたいなのが好きで、直球で幽霊が出てくる話よりそっちに強く惹かれます。
例えば桜金造さんの「隙間女」とか、中山市朗さんの「山の牧場」とか(知らん人はググってみてください)。
おおよそ、怨念とか恨みとかツラミとか、そういうのと無縁の「ただ怖い話」です。
それでいうと筆者も人生においていくつか意味がわからん体験があって、これはもういろんな所で書いてるんですけど、小学校のお泊り学習のときの話が一番怖かった。
筆者の地元には烏帽子岳というちっちゃい山があったんですけど、そこの上にお泊り施設を備えた学習施設みたいなのがあって、近所の小学校とかのお泊り学習とかはだいたいそこでやってたんですね。
筆者は小学校は3年生から5年生までがその施設でお泊りして、6年生は修学旅行で山口県の秋吉台かな? たしかそこに行ったんですけど、これは5年生のときの話。
なのでまさしくその烏帽子岳のてっぺんにみんなでお泊りしたときの話です。
昼間はみんなで登山してカレー作ったりとか色々やって。
そんで疲れ切って夜は男子と女子で分かれて大部屋で寝るんですけど、その前に風呂入ったり歯を磨いたりとかの時間があるじゃないですか。
オレも仲の良い友だちとそういう風に寝る準備してたんですけど、パッとみると、廊下の所に同級生が溜まってるわけですね。先生もいる。
なんかざわついてるわけですよ。
近づくと、シャシャシャって音がしてる。