第182回：遠隔操作や2層ROM…裏の世界、実例②
二層ROMはROMチェッカーのチェックをかいくぐる
不正改造をみつけるために開発された「ROMチェッカー」。しかし、裏業者はそのセキュリティを打ち破る秘策を編み出していた。
業者「ROMチェッカーという名を聞くと、いかにもROMの中身を、つまりプログラムをチェックする機械だと思うだろ? それが違うんだなあ」
私「えっ? プログラムが正規のものかどうか調べるわけじゃないんですか?」
業者「俺も詳しくは知らないんだが、なんでも信号を送ってその跳ね返り方で正規品かどうかを見破るものらしい。だから、ほんの数秒で探知できるんだとさ」
私「それじゃ、改造ROMはすぐにバレちゃうじゃないですか」
業者「だ・か・ら、正規のROMを上にかぶせて二層にしてあるの。こうしておけばROMチェッカーで調べても上のROMから信号が返るから正規品と認識されるんだよ」
私「はー、考えましたね」
この裏基板があったのはまだV1かそれ以前の頃だったと記憶している。データを吸い出して自在にROMの中身を書き換えることができていた頃だ。この特殊なROMでどんな機種に裏を仕込んだのかまでは聞かなかったが、裏モノは総じて人気があって設置台数が多い機種が標的になるもの。となれば心当たるのは数機種に絞られてくる。…