●昭和60年(1985年)早春のある日
「ねえねえ、もう打った?」
出社するやいなや、こう切り出してきたのはSだった。デジパチの出玉が大幅に減って、その分大当り確率が甘くなるとの情報は、かなり前から一部のプロの間で広まっていた。その第一弾となる数機種が、いよいよ設置され始めたのだ。
「打ったけど、出玉が少ねぇよな。1300個しか出ないんだぜ」
「回りはいいけどね。さすがにあれで回らなきゃ、誰も打たんでしょ」
先陣を切って登場してきたのは、
●フィーバー10スペシャル(三共)
●アイドルセブンα(大一)
●エキサイトヒーロー(ニューギン)
●ファイヤーセブン(瑞穂)
●マルホンのニュークラウン(マルホン)
…だった。
私が最初に打ったのはフィーバー10だったが、出玉の少なさにガックリきて、その後あまり手を出さないでいた。大当り確率がアップしたとはいえ、前情報では全機種1/200。格段に甘くなったというわけでもなかったからだ。
「これならさ、1/100ぐらいにしてもらわないと」
「200回まわすの疲れるよね。それで3千円だもの」
玉持ちはいい。よく回る。それは認めるが、やはり出玉的に妙味に乏しい。それに、0号機デジパチがあれだけ攻略された後だ。“もう攻略法は出てこないだろう”というのが、プロ達の共通した認識だった。
「ま、ともかく調べてみようや。全機種は無理でも、1つ2つは攻略できるのがあるかもしれんだろ」
「調べもしないでウダウダ言わないの」
リーダー格のOが、やる気をなくしている我々に活を入れた。
●1号機攻略第1弾は「アイドルセブンα」
「じゃあ俺、データ取ってくるわ」
近場にアイドルセブンが入っていたので、Sが出目取りに出かけた。出目取りというのは、単に回して出た数字を記録していくだけのことである。たったそれだけの調査でリーチ目が判明するケースもあった。アナログ的な調査だが、初期のデジパチはこれだけで攻略できることもあったのである。
アイドルセブンα
Sは1時間ほどで戻ってくると、さっそく移行パターンの割り出しに入った。確率の高い移行があれば、逆算してリーチ目を見つけられるからだ。
S「え〜と、ん〜? なんだこれ?」
O「どうした?」
S「50個ぐらい出目を取ったんだけど…動き方が5パターンしかないんだわ」
O「そんな馬鹿なわけないだろ(笑)。最新機種なんだぜ?」
私「そうだよ、0号機だって何種類もの動きがあったじゃない」
S「たまたま動きが偏ったのかなあ。もっとサンプル集めないとダメだね。もう一度行ってくる」
Sはそそくさと出て行き、今度は200個くらいの出目データを取ってきた。が…
S「やっぱ5パターンだよ! これ、本当に5つの動きしかしてないわ!」
一同「え?」「ワオ!」「馬鹿台じゃん!」「ヒョー!」
みな次々に歓喜した…
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